歴史小説に思うこと 項羽と劉邦編

どーも、くれです。

 

早逝した父の影響で、歴史小説が好きですが、特に司馬遼太郎先生の小説が好きです。

完読した作品数は、父の文庫本の蔵書を適当に引っ張り出して、その中で気に入った作品に限られますので、数えられる程度です。

 

私が歴史小説を読んでいて思うのは、時代ごとに、学べる内容に特色があることです。

今回は、古代中国を舞台とした、「項羽と劉邦」について書かせて頂きます。

 

私は、古代中国の物語に触れると「人間とは何か?」について考えさせられます。

多くの故事成語の舞台にもなっていて、子供の頃から聞かされていた訓示の例え話が、小説で読むことで、リアルタイムに登場人物を通して、自分の身に降りかかってくる感じが、たまりません。特に、四面楚歌のシーンは、圧巻の一言です。

是非、皆様にも小説を通して、故事成語のリアル体験をしてほしいです。

 

劉邦は、荒々しく才気溢れる項羽と対照的に、人の才を活かし、人の和を重んじて、何度も項羽に負けても、最後には勝って天下を取るような略歴から、およそ人徳者であることを想像してしまっていましたが、司馬先生が描かれる劉邦像は、全く違いました。

 

町のガキ大将格だった劉邦が、取り巻き達を顎で使って処世をしていく内に、自分の身の程を知り、生きていく上で必要に迫られて、我欲を抑えて人からの助言を聞き入れ、「みんなが望むこと」を実現していく内に、それが時代の大きなうねりとシンクロして、劉邦側に勢いが付き、最後には天下を取る、まさに成り上がりストーリーでした。

 

私が、いかにも大衆心理、人間臭い話だな、と感じる好きな逸話に、蕭何が後方支援において、延々と拡大する戦線に必ず食料を切らさず手配した話がありました。

これまでの戦の常識では、遠征先の村々を襲い、略奪による報酬が、兵士のモチベーションでしたが、劉邦の軍では、先の通り、軍に食料を欠かさず供給し、兵士を飢えさせず、逆に遠征先での略奪を厳しく禁じました。

これにより、遠征先の降伏がスムーズに受け入れられるようになった、表向きの効果の上に、飢饉で飢えていた一般人が、「劉邦軍に加われば、とりあえず飢えることはない」と評判になって、こぞって劉邦軍に加わった、という話がありました。

兵士からすれば、攻める相手が、ほぼ戦わず降伏するので、命の危険が低い上に、そこに参加していれば、自分の衣食住は勿論、給料ももらえるとなれば、項羽軍に参加するよりも低リスク、ハイリターンだというわけです。

この逸話のように、壮大なスケール、実例の中に、人間の原点、行動心理を学べる場面が多数あって、是非、読んで頂きたい物語です。

 

なんか、人間関係疲れたな~ってときに、読んでもらうと、シンプルに考える良いきっかけになること請け合いです。

是非読んでみて下さい。

 

でわでわ~